インボイス制度と古物商特例

2023年10月1日から開始されるインボイス制度には古物商特例というものがあります。

この特例について警察庁のホームページでは以下の様な説明がされています。
「古物商や質屋の行う一定の取引については、適格請求書等の保存が不要(帳簿のみの保存)で仕入税額控除を行うことができる特例(古物商特例・質屋特例)が設けられています。」
なぜ警察庁がこのような説明を掲示しているのかというと、古物商許可の申請は管轄の警察署に対して行うためです。

 

国税庁のQ&Aでも同様の説明がされているのですが、既存の事業のほか、新たに古物商を始めようと思った場合には、この説明だけ見ると今までと同じ会計帳簿だけ保存していればOKと勘違いしてしまいそうですが、この説明の内容は「消費税法上」の話であって、別途「古物営業法上」の要件を満たした「古物台帳」というものが必要になってきます。

 

古物台帳には「古物」として定められている13品目の取引内容について、買取金額が税込1万円以上のものはすべて記載する必要があり、盗難が多い品目は1万円未満の取引でも記載する義務があります。古物の売買は盗難品が取引されることがあるため、このような対策が取られているというわけです。
「古物」について消費税法上の古物商特例の適用を受けるには、この古物営業法のルールを遵守している必要があるものと思われます。

 

ここから少しややこしくなりますが、古物13品目以外のものは古物台帳への記載が求められていませんが、「古物に準ずるものの範囲」が「消費税法施行規則 第十五条の三」により示されており、これによると「古物営業法に規定する古物営業と同等の取引方法により買い受けるもの(一部省略)」が該当するとされ、古物台帳への記載が必要であるかのような表現がされています。

これについては国税庁ホームページの「別冊 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達」の「第四 適格請求書等保存方式による仕入税額の控除関係 (古物に準ずるものの範囲)4-8」において、「古物に準ずるもの」は古物営業法上の古物に該当しない、例えば、金、銀、白金といった貴金属の地金やゴルフ会員権が該当し、「古物営業と同等の取引方法」とは、当該古物に準ずる物品及び証票の買受けに際して、例えば、古物営業法の規定に基づき相手方の住所、氏名等の確認等を行うとともに、業務に関する帳簿等への記載等を行うなど、古物商が古物を買い受ける場合と同等の取引方法にあることをいうことに留意する」とされていることから古物台帳等への記載について言及していることが見て取れます。

 

これらをまとめると「古物」の取引については古物営業法のルールを守る必要があり、この場合は消費税法上の古物商特例を受けることができます。
また「古物に準ずるもの」については古物営業法のルール外ではありますが、消費税法上の古物商特例を受けるために古物営業法のルールに則って古物台帳等に記載する必要がある、ということのように読み取れます。ややこしいですね。

 

 

横浜税理士法人

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