インボイス制度開始から半年が経過しました。

インボイス制度開始からおよそ半年が過ぎました。
消費者としての私の生活には何ら変化はありません(最近の様々な物の値上げラッシュには辟易していますが・・・。)。
税理士事務所の職員として、クライアント企業様の帳簿を確認する立場においては大きな変化がありました。
帳簿と証憑の突合の際に課税取引か非課税取引か課税対象外取引かをチェックすることに重点を置いていました。
10月1日以降の取引の突合の際には、上記に加えて、インボイスの有無とそのインボイスが要件を満たしているのか確認をしています。クライアント企業様の消費税納税額を正しく計算するために、インボイス制度開始後は消費税関連項目について現場で確認チェックをする項目が増加しています。 実務の現場でお客様から多くのご質問を頂いた項目について、国税庁の「お問い合わせの多いご質問(令和6年3月18日更新)」の内容と照らし合わせをしながらおさらいしてみました。
(国税庁の「お問い合わせの多いご質問(令和6年3月18日更新)」一部抜粋)

①インボイスの記載事項に誤り等があった場合の対応

帳簿と証憑の突合作業中に記載要件に不足や誤りがあるインボイスが見つかった場合、自社(買手側)において加筆修正はできないため、取引先から再交付を受ける必要があるとされていました。手間がかかるなぁという印象でした。

⇒受領した適格請求書に買手(自社)が自ら修正を加えたものであったとしても、その修正した事項について売手に確認を受けることで、その書類は適格請求書であるのと同時に修正した事項を明示した仕入明細書等にも該当することから、当該書類を保存することで、仕入税額控除の適用を受けることとして差し支えないとされました。これによりわざわざ再発行をしてもらう必要はなくなりました。

②免税事業者が発行する請求書等には消費税額を記載してもいいのか

インボイスを発行できるのは適格請求書発行事業者のみであるため、適格請求書発行事業者ではない免税事業者が請求書で消費税を記載してくるのは誤りなのではないか。

⇒免税事業者が請求書等に消費税相当額を記載したとしても、それが適格請求書等と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の適用対象となるものではありません。また、免税事業者であっても、仕入れの際に負担した消費税相当額を取引価格に上乗せして請求することは適正な転嫁として、何ら問題はありません。とされています。「消費税相当額」を上乗せ請求するという部分がポイントなのではないかと思います。

現在までのところ課税取引のほぼすべてが適格請求書発行事業者からのインボイス有りの取引である印象です。免税事業者からの課税仕入等の方が圧倒的に少ない印象です。

新聞記事によると、もともと年間売上高が1000万円以下で消費税の納税が免除されてきた事業者が、課税事業者へ転換した数は23年12月末時点で142万事業者、同9月末時点から3割超増えたそうです(このうち106万が個人事業主で残りは法人だそうです)。
転換前の免税事業者の数がわかりませんが、多くの事業者が課税事業者へ転換したことは間違いありません。

インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になられた方については、いわゆる2割特例の適用を受けることができます。2割特例が利用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です。(個人事業者の場合、令和8年分までになります。)
今のところ延長の話は出ていないため、近い将来に2割特例は終了してしまうことが予想されます。今から2割特例が無くなった場合の納税額のシミュレーションをしておくこと、2割特例が無くなった後の消費税納税額の増加に備えて資金繰りをシミュレーションしておくこと、課税方式(原則課税か簡易課税課か)の検討をしておくこと等しっかりと準備をしておくことが必要ではないでしょうか。

ご相談はお早めに。

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