税務調査の基本のキ

夏真っ盛り!毎日暑い日が続いておりますね。

さて、8月~9月は税務調査の着手が集中しやすい時期であることはご存じでしょうか?実は全国にある法人のうち、3月決算法人は、全体の20%程度を占めており、その関係もあって税務調査は8月、9月辺りから着手するケースが多くなっています。

また、毎年7月10日は税務調査官の人事異動の時期であり、だいたい3年程度で異動になると言われています。異動後の税務調査官が、新天地で鼻息荒く、税務調査に前のめりになる時期でもあるということですね。

税務調査は法人経営者・担当者の方にとってあまり馴染みもご経験もないことですので、万が一税務調査の連絡が来てしまうと大変動揺されることでしょう。 慌てる必要はありません、今回は税務調査の基本について、確認をしたいと思います。

■税務調査の頻度は?何年に一度入る?
 巷では税務調査は「3年に1度のペース」で入ると言われております。実際のところの頻度は4~5年に1回が平均とも言われております。しかしながら、税務調査の入る頻度に、特に決まりはないのです。数年おきに調査が入る法人もあれば、10年以上調査が入らない法人もあります。実際に弊法人の顧問先様も、正直4~5年おきに調査に入られる法人はかなりのレアケースでして、もっと頻度は低いです。こればかりは誰にも分からないというのが正解でしょう。

■税務調査では何を確認されるの?
1)調査対象期間
 税務調査の多くでは直近決算を含めて2~3年程の申告内容及び決算書の内容を確認されるケースが多いです。その中で何かしらの疑念が生じた場合、過去5年から最長7年間遡って確認されることになります。しかしながら、大部分のケースでは2~3年分が対象と思っていただいていいかと思います。

2)調査対象となる税目
 一般的に税務署による税務調査での調査対象税目は、①法人税・地方法人税、②消費税及び地方消費税、③源泉所得税が基本となり、付随的に④印紙税も調査対象に含まれるケースが多いかと思います。

 ①法人税等、②消費税等については、各種証憑等を細かく確認していき、誤りがあれば指摘されるようなイメージであり、③源泉所得税は、年末調整の扶養誤りや、支払報酬の源泉徴収漏れを指摘されるようなイメージです。

 どの税務調査においても、だいたい対象は同じですね。
※国税局又は税務署による調査なので、地方税については調査対象となりません。仮に法人税で修正事項が生じた場合、波及して地方税についての修正申告も必要になるという流れになります。

3)税務調査の流れ
①事前通知
 税務調査が行われる場合、税務署から「税務調査に入りたい旨」の連絡が入ります。顧問税理士が申告書にサインをしている場合には、通常は顧問税理士あてに電話連絡が入ります。ここで、調査の対象税目、課税期間等の通知を受け、実際の税務調査日時等について調整を行います。通常であれば、今日明日で調査開始ということはありませんので、焦る必要はないでしょう。(※)

②事前資料準備
 税務調査についての事前通知後、税務署から事前に、当日準備をしておいて欲しい書類のリクエストがあります。調査をスムーズに進行できるよう、当日までに依頼資料の準備をしておく必要があります。基本的に今ある資料を代用できれば問題なく、税務調査のために資料を作る必要はありません。中には一見「?」な資料もありますので、事前に税務署側とのすり合わせが出来るとベストですね。

 ※脱税が疑われる証拠等を税務当局が既に入手している場合や、不正通報等を受けての税務調査である場合などは、①②の事前通知等を経ずに実地調査に移行するケースもあります。

③実地調査
 実際に法人に税務調査官がやってきて、税務調査を行うことを「実地調査」と言います。一般的な中小企業の実地調査は2日間程度に渡り行われるケースが多いです。中堅規模以上の会社では1週間程度、上場企業レベルでは2週間~数か月に及ぶケースもあります。

 まず、実地調査初日には、会社全体の概要説明やインタビュー等を行い、税務調査官が会社理解を進める時間が設けられます。世間話もしつつ、いい雰囲気で進むケースが多いですが、税務調査官は指摘事項の鱗片をつかむために、色々な情報を聞き出してきます。不用意にベラベラと喋ってしまうと、あとで痛い目を見ることもありますので気を付けなければなりません。経営者の皆様は世間話や、自社の説明が得意な方が多いので、色々と話したくなってしまう気持ちは理解しますが、くれぐれも喋りすぎにはご注意を。。。

 その後は、帳簿や各種証憑等を確認しながら、指摘事項の有無を確認していく時間となります。追加での資料依頼や、質問事項等があった場合には適宜対応をしていくことになります。

 税務調査の指摘事項として多く挙がるのは、「売上の計上漏れ」、「在庫の計上漏れ」、「費用の期間ズレ」、「資産計上・費用計上の判断誤り」、「交際費等の否認」などでしょうか。意図的にやっている場合は論外ですが、少なからず経理上の細かいミス等は生じるので、仕方ないと割り切ることも大切です。あとは最終的な交渉次第ですね。  税務調査官は帰署の為、通常16時~16時半には調査が終了することが多いです。

■税務調査で指摘事項があった場合には?
 税務調査で指摘事項があった場合は、「修正申告」の指導がなされます。調査官の指摘事項を受け入れ、修正申告を行う場合は、修正申告書の提出と合わせて追徴税額及び加算税等の支払いを行います。

 一方、調査官の指摘事項に納得出来ない場合、自主的な修正申告行わないという選択をし、更正処分を受けることも可能です。この場合、税務署側より納税額が決定されることになりますが、不服がある場合には、税務署長又は国税局長への異議申立てを行うことになります。さらにこの異議申立ての処分内容にも納得できない場合には、国税不服審判所に審査請求するという流れになります。ここまでくると泥沼の戦いという感じです。

 なお、税務調査の結果、修正すべき事項がなかった場合、「申告是認(更正決定等をすべきと認められない)」となります。これが一番望ましい結果です。

 以上、税務調査の基本的な事項の確認をしてみました。

 なお、弊法人では、「税理士法33条の2の書面添付」を推進しています。これは決算書及び申告書等の「品質証明書」のようなもので、独立した第三者の立場である我々税理士が、申告書の作成に当たり計算・整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面を、申告書に添付して税務署へ提出することができます。

 この書面添付が付されている場合、仮に税務調査対象に選定されても、実地調査に先立って顧問税理士に対する意見聴取が行われ、そこで疑念等が解消できれば実地調査に移行しないというケースが多くあります。つまり、実地調査まで進む確率が格段に下がるという訳です。(実地調査への移行割合は50%以下と言われております。)

 実際に弊法人の顧問先中小企業の税務調査も、この意見聴取で終了するケースが非常に多くなっており、納税者側の負担を大きく減らすことが出来ると信じて、書面添付を推進しています。 税務調査は来ないに越したことはないですが、もし来てしまった場合にも、慌てずに出来る限りの対応をして臨みたいですね。

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横浜税理士法人
税理士 服部 彰男

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