米軍基地内の店舗における消費税の取り扱い

先日、沖縄へ行って来ました。
旅行と言いたいところですが、仕事です。以前は東京都や神奈川県で仕事をしていた顧問先が、沖縄に移住して軌道に乗り法人成りをして、もう10年以上になります。

朝早く、羽田空港に着いたら、ここ数年と比べたら、かなりの人がいました。新型コロナウイルスが流行して、人の移動が制限されていたこともあり、今は徐々にですが以前の状況に戻りつつあると感じました。
那覇空港から顧問先までは車で1時間くらいかかります。海や漁港なども近い場所にあります。車での移動中に窓を眺めていると在日米軍基地を見かけます。基地は高いフェンスなどで囲まれていて、もちろん入れないようになっています。基地内には居住用の住宅やお店そしてレストランなどもあるようです。イベントなどがあると基地を開放して、基地内に入り、お店やレストランを利用出来るようです。

職業柄、在日米軍基地内のお店やレストランでの消費税が気になり調べてみました。

平成26年5月8日国税不服審判所判決事例で、在日米軍基地内の営業店舗における商品販売の対価が免税売上高となるか非課税売上高となるか争われた事例があります。
在日米軍基地内の営業店舗で販売している商品は非課税資産ではく、消費税法別表第一に限定列挙されている項目のいずれにも該当しないことから、消費税法の規定に沿って考えれば、非課税取引には該当しないことになります。しかし、在日米軍基地内における取引に関しては「日米地位協定」という条約が適用されます。

日米地位協定第15条第2項は、その前段において「これらの諸機関による商品及び役務の販売には、(中略)日本の租税を課さず」と規定しており、また、その後段において「これらの諸機関による商品及び需品の日本国内における購入には、日本の租税を課する」としています。

これはつまり、日米地位協定第15条第2項は、米軍施設内の売上げについては消費税を預からず、その売上げに係る米軍施設外での仕入れについては消費税を支払う(仕入税額控除をしない)ことを求めていると解する事ができます。

日米地位協定の規定が優先して適用されることを踏まえて、この要請を消費税法の規定に沿って仕入税額控除の適用関係を判断すると、在日米軍基地内での商品売上げを非課税売上げとして取り扱うこととすれば、米軍施設外での仕入れは非課税売上対応課税仕入れとなり、その対価の額に対応する課税仕入れに係る消費税については仕入税額控除の対象とすることができないことになるため、「米軍施設外での仕入れには消費税を課し、米軍施設内の売上げについては消費税を課さない」という要請に合致することになります。

仮に、米軍施設内の商品売上げを免税売上げとした場合は、米軍施設外での仕入れは課税売上対応課税仕入れとなり仕入税額控除ができることになるため、「米軍施設外での仕入れには消費税を課す」という日米地位協定の要請に合致しないことになります。

したがって、米軍施設内の商品売上げは免税売上げではなく非課税売上げとして取り扱うこととされます。

なお、これは米軍基地内における店舗販売の話であって、米軍に対して物品等を納入したり、役務の提供をするような場合には輸出免税取引(一定の要件あり)となりますので、判断に当たってはご注意下さい。



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