低山登山 3

 その日も朝6時台に登り口に到着し機嫌よく歩き出しました。登って下るだけだと1時間ぐらいです。11時過ぎには下山し昼ご飯をどこにしようかと考え出すほどの余裕がありました。この日は体調も万全で絶好調です。7時過ぎには市内を一望できる本日のゴールにどっかと腰を下ろし、入口の自販機で購入した500mlの炭酸を機嫌よく飲み干していました。交通系ICカードも使えるこの自販機は毎回利用させていただいているお気に入りです。エビアンやポカリ、コーヒーから炭酸類までそろっています。

 気分良くスマートフォンでいつもの定点観測よろしく数枚の風景写真を撮り空のペットボトルをカバンに戻してもまだ7時半。あと20分ぐらい久しぶりに山頂まで登ってみようかと思い立ちました。機嫌よく登ったり下ったりを繰り返すうちに以前山頂まで登った際に見かけた緑色の大きな岩を発見し岩を通り過ぎてしばらく進むと視界が開け山頂に到着しました。火床からは臨めない方角が開けており気分が良いです。

 先客はお二人ほどいらっしゃいましたが山のごあいさつの後には各々の方向に歩んで行かれました。私も目的は果たしたので下山後のお昼をどこにするか考えながら火床に向かって歩きだしました。

 方角も歩いたコースも考えず低い方へと歩みを進めていくうちに登ってきたコースと違っていることに気が付きました。私の登ってきたコースは易しいコースで、他にも登山コースがいくつかあると聞いたことがあったので、このまま違うコースを進み往路と異なる登山コースを楽しもうとずんずん進んでいきました。
何か意味のあるであろう赤い丸の書いてある木がいくつもあり急な登山道を登ったり下ったり開けた尾根を行ったり来たりしているうちに自分がどこを歩いているのか分からなくなっていました。細い杉の木がいっぱい生えているキツイ傾斜を下ってみたり、最近人の歩いていないようなフワフワの葉の上を歩いてコースを外れていることを自覚してみたり、通り抜けようとする木々の間で何度も蜘蛛の巣に突っ込んでみたり、下の方に見える小川まで細い木につかまりながら下り、このチョロチョロ流れる小川に沿って下って行ったら町に出るかしらと考えてみたり、そういえば他の登山客に全く会わないなあとどのあたりまで登山客とすれ違ったりしていたかと思い出してみたり、チョロチョロ川を下りながらエナガの道と書いてある鳥の絵がパウチして掲げられている様子を見て、人が来ないところではないのだと安心してみたりするうちに、この誰もいない谷底の川沿いを歩き続けてもいつ人里に戻ることができるかわからない。まずは他の登山客と出会えるところまで戻ろうという考えに至りました。
かなり長い時間頭を使わずに山の中をウロウロしていただけのようです。小川に下ったあたりまで戻り垂らされていたロープや細い木や細い立ち枯れした木を掴み体重を分散して傾斜を四つん這いで這い上がり他の登山客が通るかもしれない道まで戻ることが出来ました。

その後も火床までも戻ることができないものかとあちこちを降りて他にルートは無いかと周辺を確認してまた戻りと繰り返していくうちに足の疲労が増してきました。今日は平日に休みをもらって山登りをしているので休日より登山客が少ないのではと一人納得してみたりしているうちに、どんどん不安が増してきます。

人が来ないかもしれない。

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