中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)

先週末、アメリカンフットボールで有名な関西学院大学(関西では非常に難易度の高い大学)と、私の所属するTKC全国会との共催による、新月プログラム「税理士のための会計講座」の最終講を聴講させて頂いた。

この講座は全国で活躍している税理士・公認会計士の方々を対象としており、税理士としての会計の専門的な知識を深めることを目的としている。講師陣は関西学院大学の教授を中心として構成されており、講座は8ヶ月間ある。
私自身は10年前にこの講座を受講し、すでに修了証を頂いているが、今回ご縁ある講師の先生からのご配慮で再度参加をさせて頂いた。

税理士は税務の専門家なのに何故会計講座と疑問に思われる方もおられると思うが、税理士法では、税理士の業務としての税務以外に、その第2条2項で「税理士業務に付随した財務書類の作成、会計帳簿の記帳代行、その他財務に関する業務」として会計業務をおこなうことができると定めている。

従って税理士は税務の専門家としての知識習得はもちろんのこと、会計の専門家としての知識習得も求められる。そのため税理士試験には、税法の他に簿記論と財務諸表論といった会計の試験に合格する必要があり、私も昭和53年(おいおい、何年前じゃ!)に合格している。

それから30数年間、税務を中心とした日常業務に追いまくられ、会計についてはさほど気にすることなく過ごしてしまった結果、会計制度は大幅な変更がなされ、当時財務諸表論で学んだ、企業会計原則等は死に体となった。

代わりに自己株式や税効果会計等多数の会計基準や具体的適用指針が示され、又IFRSという国際会計基準なるものの適用も検討され一時は大騒ぎとなった。しかしその多くが上場会社やグローバル企業向けのものであり、お客様の多くが中小企業である税理士事務所にとって、あまり必要性を感じず勉強不足が続いた。

そのような中、今から10年ほど前、「中小企業の会計に関する基本要領(以下中小会計要領)」ができた。これは中小企業の会計実務の中で慣習として行われ、企業の実態に応じた幅のある会計基準で、中小企業の経営者が理解でき、簡潔かつ平易で分かりやすく、その要は帳簿記帳が重要な構成要素として取り入れられている。ある意味基準だと私は思う。

この中小会計要領も含め最新の会計を学べる新月プログラムにその当時出会い、会計のイロハを再度学び、税理士業務の実務で恥をかかずに済んだことを今回思い出した。

新月プログラムの最終講では、当時中小会計要領の策定に多大な関わりをされた講師の先生が、最新の会計の動向も含め会計のお話をしてくれた。
経営者の皆さんの中では認識がない方もおられるかもしれないが、日本の中小企業の多くがこの中小会計要領に従い決算書(横浜税理士法人のお客様は大規模法人以外すべて準拠)を作成しているが、中小企業といっても中堅から小規模・零細まで幅広く、まだまだ会計実務の実態は上場企業と大きなギャップがある。中には会計帳簿の記帳すらままならない企業も数多くある。

我々税理士はお客様が月次決算を自ら行い、会計を通じて常時業績を把握できるように指導することが絶対の責務だと思う。
日本の中小企業に元気を出してほしいといつも願う私にとって(本当にそう思っています)、この税法を考慮した中小会計要領の活用方法を再度お客様にお示しし、収益拡大やコスト意識とモチベーションの向上に貢献し金融機関や取引先等の関係良化に役立てればと思う。



横浜税理士法人
代表社員 服部 久男

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