スキャナ保存とスキャナ機
2022年(令和4年)1月から電子帳簿保存法が改正されました。その改正の中で「スキャナ保存」に関する改正があります。
スキャナ保存については必ずしも対応しなければならない制度ではありませんので、その対応は事業者の任意となりますが、この改正によりスキャナ保存の要件を満たすソフトウェアを導入することで、改正前より比較的容易に対応することが可能となりました。
メリットとしては、正しくスキャナ保存を行うことができれば紙の領収書などを破棄することが可能となり、何年も紙のまま保管しておくという負担を軽減することができます。
またスキャンした画像を仕訳と一緒に表示する機能が搭載されているソフトウェアを活用することで入力内容と領収書の内容が一致しているか確認する作業も実施しやすくなります。
デメリットとしては今までは「①領収書等の整理」、「②仕訳入力」、「③領収書等の保管」といった作業の流れが、スキャナ保存の導入初期は、「①領収書等の整理」、「②領収書等のスキャン」、「③仕訳入力またはスキャンした領収書との仕訳連携」、「④慣れるまでは領収書等の保管」となり一時的に作業の負担が増加します。④についてはスキャン後すぐに領収書を破棄することも可能なのですが、導入初期は万が一に備えて紙のまま保存しておく方が多いのではないかと思われます。
最終的にはスキャナ保存の一連の作業に慣れてくると、紙の整理・保存が不要となるため、実際に手間が増える部分というのは「書類のスキャン」に集約されていくのではないでしょうか。
そこで書類のスキャンを効率的に行うためには、「スキャナ専用機」を導入されることを強くお勧めします。複合機などのスキャンでも対応は可能ですが作業効率は良くありません。
私も最近のスキャナ機に触れて驚いたのですが、逆さまのレシートでも正確に読み取り、かつ高速・連続で読取りが可能な機種があります。実際に私が2種類のスキャナ機に触れた上での感想なのですが、読み込む枚数にもよりますが、1枚1枚手差しで読み込むタイプよりも1度に複数枚セットできるスキャナを使用した方が、想定している以上に作業効率が向上します。そのため、少々金額が高くなったとしてもデスク上に設置するタイプのもので一度に何枚も連続で読み取ることができるスキャナ機を購入されることをお勧めします。
なお私が実際に触れて比較したスキャナ機はScanSnapシリーズのモバイルモデルとフラッグシップモデルです。モバイルモデルの価格は2~3万円、フラッグシップモデルは5万円台といったところでしょうか。価格差3万円程度の開きはありますが、スキャナ保存を本格的に進めたい場合にはフラッグシップモデルがお勧めです。
最後に私ども横浜税理士法人は株式会社TKCと連携し、電子帳簿保存法改正に対応した「証憑保存機能」が標準搭載された会計ソフトをご提供しております。このソフトは当然ながらスキャナ保存の要件も満たしているものになりますが、その要件のうち「スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持」という部分について、スキャンした書類と仕訳を番号で紐づけて要件を満たしたうえで、仕訳画面の横にスキャンした書類を画像表示する機能もあります。毎月監査にお伺いさせていただく際には会計・税務のほか、今回のような事例についてもサポートさせていただいておりますので、ご対応をお考えの場合にはご連絡ください。
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