ある時代小説を読んで
先日ある時代小説を全巻読み終わりました。読み始めたのはKindleのオススメ画面に出てきた時に、「おもしろそうだな・・・」程度の何気ない動機でした。
第一巻を読み始めたらあっという間にこの小説の世界に引きずり込まれてしまいました。江戸時代後期の江戸の下町が舞台なのですが、主人公の生き様はかっこいいし、その主人公を取り巻く登場人物が多種多様で、個性に溢れ、主人公と行動を共にする様子が生き生きと描かれていました。食事のシーンも楽しみで、自分も登場人物と一緒に食事をしているかのような感覚になってしまいました。うなぎや蕎麦、お酒など小説から食べ物の温もりや香りが伝わって来るようでした。
もちろん闘いのシーンは迫力があり面白かったのですが、財政を立て直すために藩で商売を始めるといった商業・経済のお話も多く描かれており、ストーリーの分野が多岐に渡ることも夢中になれた原因の一つではないかなと思いました。
この小説には主人公を援助する豪商が何人か登場するのですが、江戸時代の税制はどのようになっていたのかふと疑問に思いました。お米で年貢を納めるのは農民で、納められたお米で武士の給与?が支払われていたそうです。武士には所得税・住民税は課税されなかったようですね。商人には運上金や冥加金といった税金の様な組合費の様なものが賦課されていたようです。現代の所得税や法人税の様に収入と支出から利益を計算して税率を乗じてなどといった計算はしていなかったのでしょうか。主人公は用心棒等をして依頼者から報酬をもらうのですが、所得税の仕組みができるのは明治時代からだそうで、江戸時代では主人公の様に用心棒をして報酬をもらっても所得税や社会保険料がかからずに、全額が「手取り」になったんですね。手取りが多くていいなぁなんて思ってしまいましたが、社会保障制度は存在しないため、実際の生活は大変だったのではないでしょうか。
この小説は毎日の通勤時間や移動時間に読んでいたのですが、この小説のおかげで通勤や移動が苦になりませんでした。むしろ長距離の移動は小説の続きが読めるため楽しみですらありました。
実はこの時代小説、全51巻もありました。最初の5巻まではKindle版を購入しましたが、大人買いはせずに、残りは私の住んでいる地域の図書館を利用しました。市立図書館なので利用料は無料ですが、私と同じタイミングで読み進めている方がいらっしゃったようで、当然ですが借りようとしている巻が貸出中の場合には返却されるのを待つしかありません。図書館に行った時に続きがあった時の感動もまた楽しみの一つでした。 次はどの様な時代小説に出会えるのか休日の図書館訪問が今の私の楽しみの一つになっています。
横浜税理士法人
税理士 矢吹泰正
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