非居住者への報酬の支払い時の消費税と源泉所得税
非居住者へ報酬を支払う時の消費税と源泉所得税の取り扱いに悩んだことはないでしょうか。
今回は、国内法人が海外シンガポール在住(非居住者)の個人のイラストレーターに対して報酬を払った場合を例に、消費税と源泉所得税の取り扱いについてまとめてみました。
本件における消費税及び源泉所得税の取り扱いにつき、「イラスト制作」業務が①「著作権の譲渡や利用許諾」なのか、②「単なる制作(役務提供)」なのかでその取り扱いが変わってまいりますのでそれぞれ解説します。
①イラストの委託が「著作権の譲渡や利用許諾」であるとき(所得税法161条1項十一ロ)
[消費税]
著作物の譲渡が行われるのが国外であり、国外取引となるため対象外となります。
[源泉所得税]
著作物が使用されるのは国内であるため、『著作権の使用料またはその譲渡の対価』として国内源泉所得に該当し、20.42%の源泉徴収が必要となります。
しかしながら、日本とマレーシアの間には租税協定があり、手続きを踏めば租税協定が優先されるため源泉徴収額を支払対価の10%(※)に軽減可能となります。
②イラストの委託が単なる作業(人的役務提供)であるとき(所得税法161条1項十二イ)
[消費税]
役務の提供が行われるのが国外であり国外取引となるため対象外です。
[源泉所得税]
作業の場所が国外であるため国内源泉所得には該当せず源泉徴収は不要となります。
その為、本件の業務委託内容を詳細にご確認頂き、
①デザイン的要素が存在し著作権の譲渡が含まれるのか
②貴社からの指示に基づき、単なる作業としての性質が強いのか
どちらに該当するかご判断を頂ければと思います。
※租税協定(租税条約)については、相手の国によって条件が違いますので国ごとに確認が必要となること、摘要については届出書の提出が必要になることに留意しましょう。


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