会社が倒産して給料が受け取れない人が活用すべき制度とは?
「明日は我が身」だからこそ
大手調査会社・帝国データバンクの調査によれば、2021年1月22日現在「新型コロナウイルス関連倒産」は日本全国で924件発生しているそうです。このうち、法的整理を行ったのは830件、事業停止の状態にあるのが94件でした。
https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html
日本を含めた世界各国で、ワクチン接種の動きが具体化してきていますが、まだまだ影響は及ぶと考えられます。自分や家族が勤めている会社が倒産してしまうのも、まったくあり得ない話ではありません。明日になったら会社が倒産していた、という事態は誰にでも起こりうる以上「会社が倒産しても、未払いになっている給料を払ってもらう方法があること」は知っておきましょう。
利用できる制度として、未払賃金立替払制度があります。これは「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づき運用されている制度です。つまり、企業が倒産したことにより賃金(給料)が未払いのまま退職した労働者について、その未払賃金のうち、一定の範囲を国(労働者健康安全機構)が事業主に代わって支払ってくれます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei03.html
未払賃金立替払制度を利用できる条件は?いくらまで立て替えてくれる?
未払賃金立替払制度を利用できる事業主と労働者については、それぞれ条件があります。
まず、事業主にかかる条件としては、1)労災保険の適用事業を1年以上営んでいる、2)法律上・事実上の倒産をした、の2つです。なお、法律上の倒産とは破産手続・再生手続・更生手続開始決定を指します。また、事実上の倒産とは、労働基準監督署が認定するものです。具体例としては「社長が夜逃げして音信不通になり、事実上事業が継続できない」などが考えられます。
一方、労働者にかかる条件ですが、1)倒産の半年前から倒産後1年半以内に退職した人、2)倒産した時点での未払賃金の額が2万円以上の人が対象になります。雇用形態に制限はないので、正社員はもちろん、パート・アルバイトであってもこの制度を利用することが可能です。
また、手続きは倒産した日(破産手続・再生手続・更生手続開始決定、事実状の倒産の認定)から2年以内に行わなくてはいけません。なお、立替払をしてもらえる未払賃金の額は、退職日における年齢によって決まりますが、最大で296万円です。
仮に、この制度を利用したとしても、従業員に返済義務が課せられることはありません。しかし、書類審査は厳しいので、不備がないよう準備しましょう。必要に応じて、労働基準監督署の相談員や社会保険労務士に相談するのをおすすめします。
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