業界団体の懇親会費の総額を把握できる場合の飲食費に係る交際費の取り扱い
日一日と寒さが募ってまいりますね。 年末にかけて懇親会や忘年会等、行事が毎日のように入っており体調管理の重要性を改めて感じております。
さて、先日発刊されました税務通信3827号(2024年11月18日)において、こんな記事がありました。 それは『業界団体の懇親会費の総額を把握できる場合の飲食費に係る対応』です。
記事の概要としては下記の通り。
- 令和6年度改正において、交際費等の損金不算入制度が改正され、交際費等の範囲から除外される「飲食費」の金額基準について、1人当たり1万円以下に引き上げられた。(従来は5,000円)
- ここでいう「飲食費」とは、「飲食その他これに類する行為のために要する費用として支出する金額」であり、その飲食等のために要する費用の“総額”である( 措通61の4(1)-23 (注))。
- ケースとしては、業界団体等の懇親会に参加するに当たり会費を支出する場合。
- 業界団体からの通知等により、懇親会の飲食費“総額”が把握できるのであれば、その飲食費総額を参加者数で除した額で1万円以下であるか否かを判断する。
- 業界団体等の懇親会が催される場合、会員に会費を提示して徴収することが一般的である。懇親会毎に、都度飲食費総額を照会することは実務上難しいので、飲食費総額の通知がなく、かつ、その飲食等に要する1人当たりの費用の金額がおおむね1万円程度にとどまると想定される場合は、支出した金額(会費)で判定しても問題ない。(措通61の4(1)-23 (注))。
要は、徴収される会費が8,000円/人だったとして、支払額が10,000円以下だから「ハイ、交際費から除外」とすぐに判断するな、ということです。懇親会開催に当たって、業界団体側でも4,000円/人を費用負担しているような場合には、一人当たりの飲食代は計12,000円になるので、交際費から除くことができる「飲食代」には該当しないというものです。
この記事の内容自体は、今に始まったことではなく、従来から同様の取り扱いにはなるのですが、交際費から除かれる飲食代の金額基準が1万円以下に引き上がったことで、際どいケースが多くなることから改めて記事にされたものと思われます。
私自身も、税理士業界団体に属しておりますので、懇親会に参加させてもらう機会は非常に多いのですが、飲食代の総額を都度確認するというのは正直なところ現実的ではないですね。特に参加者が多い場合には、取り仕切る団体側の労力もかなり要することになるので、厳密な確認・運用を行うのは難しいと感じております。
ただし、懇親会の会場が客単価2万、3万もするような高級飲食店で、明らかに1万円を超えることが分かるような状況においては、その会費が1万円ポッキリということであれば、それは交際費として取り扱った方がいいということですね。
最後に、『会費支払額だけで1万円以下の判断はしない』これだけは頭に入れておくといいでしょう。
横浜税理士法人
税理士・公認会計士 服部彰男
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