11月のコラム
税務:「去年と同じ」はNG
最終確認! 令和7年分年末調整のポイント
「年収の壁」の見直しで、所得税の還付を受ける人が増えるとされている今年の年末調整。従業員本人はもちろん、その配偶者や扶養親族の年収・年齢など、確認すべき点は例年より増えているため、「去年と同じ」ではNGです。
従業員に、年末調整に必要な各種申告書の入力方法(書き方)を説明する際に正しく伝えられるように、混同しやすい「年収(年間給与収入)」と「給与所得」の違いをまずは確認しておきましょう。
〇年収(年間給与収入)…1月1日から12月31日までの1年間に、会社から支払われる総支給額のこと。税金や社会保険料等が引かれる前の金額を指す。
〇給与所得…年収(年間給与収入)から給与所得者の「必要経費」とされる「給与所得控除」を差し引いたもの。その年の収入が給与所得のみの場合、給与所得=合計所得金額となる。
従業員から提出を受けた基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書をチェックする際、令和7年度税制改正により給与所得控除額と基礎控除額が見直されていることに留意が必要です。
会計・税務:社長がおさえておきたい
「減価償却」のきほん
減価償却とは、時間の経過や使用などによって価値が減少していく固定資産(=減価償却資産)の購入費用を、一度に経費として計上するのではなく、使用可能期間(耐用年数)に応じて、分割してその年分の経費として計上する会計上のルールの1つです。「費用収益対応の原則」に基づくもので、正しい期間損益を計算するために行われます。また、減価償却費は税法で規定された耐用年数に応じた期間にわたって、定額法や定率法に基づいて計上することが一般的で、損金(必要経費)として認められます。
なお、少額な減価償却資産の場合は、税務上、一時の損金算入が認められています。
〇使用可能期間が1年未満のもの、または取得価額が10万円未満のもの
→「消耗品費」等として、購入したその期に一括で費用計上できる。
〇取得価額10万円以上20万円未満の減価償却資産(一括償却資産)
→「一括償却資産」として3年均等償却できる。
また、中小企業(青色申告法人・個人)の場合、取得価額が30万円未満の減価償却資産を年間合計300万円まで、全額その期に費用計上することができます(中小企業の特例)。
会計:会計ミステリー!?
利益は出ているのに、どうして資金がない?
今期は売上も順調に伸び、利益も前年より増えているにもかかわらず、決算書を見ると資金(現金預金残高)は減少している。まるで、帳簿の中で資金が消えてしまったかのような「不可解なミステリー」です。
利益と資金は、まったく異なるルールと流れの中で動いています。例えば掛取引の場合、売上が立った時点で帳簿には収益が計上されますが、実際に資金が増えるのは売掛金が回収された後です。同様に、仕入が計上されても、買掛金の支払いが済むまでは資金は減りません。会計上の収益・費用と、実際の入出金のタイミングのズレこそが、利益と資金が一致しない理由なのです。発生主義など会計の仕組みへのあいまいな理解から生まれた「利益=資金」という誤解や、帳簿上の利益がそのまま現金預金として存在するはず──との思い込みこそが、「利益はあるのに、どうして資金がない?」事件の真相です。
利益を上げることは重要ですが、それだけでは十分ではありません。資金の流れを読み解き、資金繰りの改善に取り組むことが健全な経営の第一歩です。


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