税務会計と節税

 縁あって令和4年10月から令和5年3月まで某大学の講師に就任し、税務会計の授業を担当させて頂くこととなった。過去、青森公立大学の中小企業会計(財務会計)の講師を2年ほど勤めさせて頂いたが、今回は財務会計ではなく税理士業務と密接な関係のある税務会計を、企業経営者や金融機関の方に向けてお話しするようにとのことである。

 財務会計と税務会計とでは同じ会計でも目的が異なるため、収益や費用などを算出するときの定義が異なり、財務会計上の収益や費用と税務会計上のそれとは必ずしも一致しない、この違いを知らずにいると思わず多額の税負担を負うこともある。

 税理士業務を行う者にとっては当たり前のことではあるが、企業が経営戦略を立案するために必要となる事業計画などと同様に、企業経営のために税務会計を意識したプランニングは、必要不可欠な計画の一つであり、将来の納税額についてきちんと計画を立案し、納税額を予測することは、大企業に限らず、中小企業経営で最も重要な活動とも言える「資金繰り」を予測するうえで重要な意味を持っている。

 さて、そこで企業経営者等の方々にご興味を持っていただくために、まず企業を取り巻く税の中心である法人税・所得税・消費税を知って頂き、企業が負担する税の在り方(節税・脱税・租税回避)は、どうあるべきかを足掛かりに授業をしようと思う。

ちなみに

・節税とは、税法が予定した法形式を選択することにより租税負担を軽減する行為で、税法が予定した適法な行為である。
・脱税とは、課税の要件の充足する事実を全部または一部を秘匿する行為であり、当然違法となり、刑事責任を問われる行為である。
・租税回避とは、異常な法形式を選択し(異常≠違法)通常想定される法形式を選択したと同一の経済的効果を達成し、その結果として租税負担の軽減を図る行為である。
租税法の定義は上記のとおりであるが、企業経営者等の方々に専門用語を並べても興味を持ってはいただけないであろうから、世間一般に「~ということにして」という行為で、結構節税と思われているが、実は大間違いの例を掲げ「節税に王道なし」、簡単に思いつくような策は、まず危ないと疑うことを理解していただく、こんな講義をしたいと思います。



横浜税理士法人
代表社員 服部 久男

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