人の秘密の暴露は厳禁。アウティングがパワハラになるかどうかの境目は?

人の秘密、勝手に暴露してませんか?

誰にだって「これは人には知られたくない」という話の1つや2つはあるでしょう。過去の失敗や挫折、人間関係で苦労した経験など、人によって内容は様々です。

しかし、自分は「こんなの大したことはないから別に知られても良いでしょ」と思っていても、相手は「絶対に知られたくない、必要なら自分から話す」と思っていることだってあります。このような背景を考えると「たとえどんなことであれ、人から”これは秘密にしてほしい”と言われたことは、軽々しく話してはいけない」という真実が浮かび上がるはずです。

仕事においても、これは全く変わりません。税理士、弁護士などの専門職は言うに及ばず、一般的な会社員であっても「業務上知りえたことは、外部に漏らしてはならない」という守秘義務が課せられ、厳守することは、もはや常識になっています。

一方、他人の性的志向に関しては、残念ながら日本ではまだまだ意識が追い付いていなかったのが実情でした。労務という観点から、注目すべきニュースを紹介しておきましょう。

2021年4月に、勤務先で同性愛者であることを上司から同僚に暴露された(アウティング)のが原因で精神疾患になったとして、労災として労働基準監督署への申請を行いました。

既に会社は2020年10月に、アウティングの事実を認め、謝罪および解決金の支払に応じているとのことです。

参照:東京新聞「#職場でのアウティングは労災」…労災申請の同性愛者の男性、6月に厚労省に署名提出へ

https://www.tokyo-np.co.jp/article/105981

アウティングがパワハラになるかどうかの境目は?

アウティングが原因の精神疾患について、労災認定が下りるかどうかはまだわかりません。

しかし「何をすればアウティングになるのか」という基準は知っておくべきでしょう。

厚生労働省は2020年に「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」を発表しました。

いわば「何がパワハラに当たるのか」に対する国の指針ですが、その中でアウティングについても「個の侵害」として規定が設けられています。ポイントは「当該労働者の了解を得ているかどうか」です。

参照:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

つまり「本人が嫌だと言っているのに、勝手に秘密を暴露する」ことは、立派なアウティングに当たります。ある意味「人の嫌がることはしない」という、子どもでもわかる道徳を守れば良いだけの話です。事業主が自ら暴露するのはもちろん、他の社員にも「他人のプライバシーには配慮するように」と周知・啓発を行うのが、事業主として最低限果たすべき努めでしょう。

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