芸能人やアニメーターも労災保険に加入が可能に。労災保険の特別加入制度とは

「フリーランスは労災に入れない」とも限らない

日本においては、国が定める労働者を保護するための制度として、労災保険が存在します。これは「労働者災害補償保険法」という法律で定めるもので、簡単に言うと「通勤中や仕事中に病気・ケガをしたり、万が一のことが起きてしまったりした場合に、治療費や給付金を支給する制度」のことです。

この制度は、会社(事業所)が保険料を負担し、実際に事故(病気・ケガをしたり万が一のことが起きてしまうこと)が起きた場合は「雇用されている労働者」に対して、給付がなされるのが基本的な仕組みとなっています。あくまで「雇用されている=どこかの会社・組織に雇われて勤めている」人が前提となる制度であるため、雇われていない人=フリーランスの人は、基本的には労災保険の対象になりません。

しかし、労災保険には「特別加入制度」という制度が設けられており、一定の条件を満たすフリーランスであれば実は加入できるのです。

労災保険の特別加入制度とは

労災保険の特別加入制度とは、会社に勤める労働者でない人(=フリーランス)であっても、「業務の実態などから、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人」であれば、労災加入を認めるという制度です。

大きく分けると、中小事業主等(第一種特別加入者)、一人親方等・特定作業従事者(第二種特別加入者)、海外派遣者(第三種特別加入者)のいずれかに当てはまるのであれば、特別加入が認められます。ちなみに、中小事業主等とは「小さい会社の社長さん(事業主)で、自分も現場に出ている人」、海外派遣者とは「勤務先の会社・団体を通じて海外赴任している人」と考えるとわかりやすいでしょう。

また、第二種特別加入者の「一人親方等」とは個人タクシーの運転手、大工・左官・とび職、漁師(漁業従事者)、林業従事者などを指します。また「特定作業従事者」とは、特別農作業従事者(果実園、牧場を経営している人)や労働組合等の役員、介護作業従事者(訪問ヘルパー)や家事支援事業者(いわゆる「家事代行」)などが含まれます。

そして、2021年4月1日からは厚生労働省令により、柔道整復師(一人親方)、芸能従事者(=芸能人、特定作業従事者)、アニメーション制作従事者(=アニメーター、特定作業従事者)も特別加入の対象となったのです。つまり、フリーランス(個人事業主)として仕事を受けていたとしても、自身が保険料を払うことで、労災保険に加入できるようになりました。

柔道整復師の場合は「施術をすることで起きる腰痛」「職場への移動中のケガ」、芸能従事者の場合は「舞台セットの落下による下敷き事故」「深夜早朝、長時間の撮影等による過労」、アニメーション制作従事者の場合は「過労による腱鞘炎、肩こり、腰痛」「長時間労働による精神疾患」などのトラブルが起きた場合、労災保険の給付対象となることを覚えておくと良いでしょう。

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